以前のエントリー■建物の用途変更ができない案件。で建物の用途について書いたが、少し補足として・・・。


テナント案件で、用途の変更を行おうとした時、建物全体が現行の建築基準法に則していない為、建物全体を現行の建築基準法に適応させた形としなければならず、消防設備等の改修に大幅なコストをかける必要が生じる為、現実的に用途変更をあきらめざるを得ないということがある。


では用途変更しなくていいじゃないか、と考えがちであるが、用途変更をしないで消防設備のみ法令に遵守した形で改装を行ったとしても、消防側で検査をしてくれない。
それはなぜかというと、建築指導課の確認申請許可書類が出て初めて、消防は検査をすることができるという構造になっているからである。


要は「ちゃんと用途変更して確認とってからウチ(消防)来て下さいよ。話はそれからです。」っていうことですね。


つまり、用途変更しなければいけない案件というのは、どこまで行っても、用途変更をしない限り別用途での建物使用は原則としてできないのである。



全てがそうかと言うと、実はこれを回避できる方法論もあります。


それが令八区画というものです。
つまり、確認を下ろさずに消防検査をしてもらい、消防の検査済み証をもらってしまおうと言う方法論です。

基本的に消防の規制は棟単位での規制となります。
つまり、既存の10階建ての建物のうち一階だけを店舗として使用することにしたので、一階部分だけ消防対応していればいいという考え方では無く、1階部分だけを店舗として使用することに変更した場合でも、建物全体として消防の規制はかかってくるのです。


で令八区画。

■消防用設備等の設置単位の特例(消防法17条3項 抜粋)
消防用設備等の設置は棟単位でおこなう(1棟を1防火対象物とする)。敷地単位ではない。
ただし、開口部のない耐火構造の床又は壁で区画(令8区画)されている場合、区画された部分は夫々別の防火対象物とみなされる。(消防法施行令第8条)


つまり、その部分だけ単独で防火対象物として独立していると言うことを認めさせることができれば、その部分のみを対象として消防検査を受け、検査済み証を受け取ることができるのです。


まぁ、これで用途変更ができなくても店舗が出せると言うことでは無いですが、この部分を突破口として、消防側で目をつぶってもらい検査をしてもらうということも可能です。

それなりの、知識とネゴシエーション力が必要ですが。(笑