先日、仕事で甲州街道沿いの居抜き物件があがったので現調をかけてきたのですが、まぁ、これがとあるカー・ディーラーの撤退物件でした。
周辺環境は非常に良く、前面道路が甲州街道となっているため、私の扱っている店舗の顧客の集客動向から見ても、出したい立地ではあるのですが、店舗への導入が今一つなんで、どうかな?という物件でした。
甲州街道は片側2車線の交通量の多い通りとなっており、路肩がほとんど無い道路なので、店舗への導入がスムーズにできないと、交通渋滞により事故の起こりやすい一因となってしまいがちです。そうなると、入りにくい店舗という印象がつき、この事が顧客が足を遠のけてしまう要因になりかねないんですよね。


ディーラー跡の居抜き物件の場合は、これも含めて難しいことが多いです。


カー・ディーラーも基本的には車で来店する顧客向けに店舗を作っているので、それは私の扱っている店舗にも合致しているのですが、カーディーラーと物販店とでは来店客数があまりにも違う為、駐車スペース及び車の導入に対する考え方が恐らく違います。(一時間に4~5台程度の来店だったら、車の導入にそれほど気を使う必要は無い)


また、たいていのディーラー物件は吹き抜けの建物となっており、物販で使うには使いにくい建物となっています。
今回、物調してきた物件はまさにその典型で、1階が約80坪、2階がトイレのみで10坪(吹き抜け)、3階が約70坪となっており、1階から3階へ顧客を誘導するのが難しい。まして、3階まで吹き抜けになっていれば、下階から3階の売場を顧客に見せることができるので誘導しやすくなるのですが、3階部分は全く見えないのでそれも困難。


そして、それ以上に大きいのは、物販で出店するには用途の変更が必要になるということですね。
カー・ディーラーの場合、その建物は事務所・ショールームでの用途申請を行っているので、そこで物販を行うには用途変更が必要になります。(来店人数があまりにちがうので)
そうすると、用途変更の実務コスト以外に消防設備等の追加が必要となり、余計な設備コストが発生します。そして、このコストがどこに転化されるかというと家賃に転化され、その分ランニングコストが高い店舗となってしまうのです。
ただでさえ、カー・ディーラー系の建物は見栄えを気にする(高い商品を販売しているので)ので、高コストな建物となっているから家賃が高めなのに、それ以上に高くなってしまうという・・・。


そんな理由で、立地的には良い場所に居抜き物件でカー・ディーラーものが出たとしても、なかなか出店するのは難しいんですよね、という話でした。