バカラのグラスに放り込まれた真円の氷は惑星で、そこに注ぎ込まれるエライジャ・クレイグは芳醇な大気。

“Less is more.” – Ludwig Mies van der Rohe –

全体像がいくら素晴らしいものであろうとも、ディティールが甘ければ全ては台無しである。「神は細部に宿る」… ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエの近代建築三大巨匠の建築物を評して言われた事に端を発し、今日、プロダクトや様々な事柄に関して言われる事が多い。そのミニマルなデザインで評価される Apple のプロダクトも、その妥協しないディティールの作り込みにより神が細部に宿っている典型と言えるだろう。


そして、腕の良いプロフェッショナルの手仕事が醸し出す空間にも、また、神が細部に宿っている。


行きつけのバーの HP 用に写真を撮ってくれと頼まれたので、飲みに行きがてら何枚か撮らせてもらったんだけれども、ファインダーを覗いたそこには宇宙があった。

うまい酒が飲めるバー。うまい食事が出来るレストラン。美味いコーヒーが飲めるカフェ。好きなデザインのアパレルブランド。良い車。良いPC。良いカメラ。好みによってチョイスは様々だし、選ぶ理由もまた人それぞれだけれども、共通して言える事はガワだけ体裁を取り繕ってもディティールの詰めが甘ければ人の心を捉える事は出来ないと言う事。

居心地の良さは、良い酒や良い内装、良い BGM だけじゃないねー…。