私の同居人は現在、以前社員であったところで、アルバイトとして勤務している。
職種はサービス業の現場(フロント)仕事である。
同居人の職場には、直接仕事上絡んでくる社員が、マネージャーと主任クラスの二人いるのだが、どうもこの主任クラスの社員(仮にA君とする)に問題があるらしい。


どう問題があるかというと、まず、休みが多い。
勤怠管理がどうなっているかわからないが、突然休んだりするようだ。
また、時間にきっちりしている。
時間にきっちりしているというのはビジネス的にはすばらしいことだが、彼の場合、帰る時間がきっちりしているという。
つまり、定時にきちんと帰るのである。やらなければならない事務仕事が溜まっていようとも。(笑


今日も似たような話があった。
同居人の職場には、現在、今年の新入社員が一人配属されており、その新入社員は休憩をとる時間もままならずにフロントに立っていたのであるが、その面倒を見るべき立場であるA君は定時になったら帰り支度をしてとっとと帰ってしまった。
それを見かねた新人のアルバイト(社員ではない)が、代わりにフロント業務について新入社員の彼を休憩に行かせたということである。


やれやれ。

私も店舗開発という職務で所属していたところであるが、以前も似たような話がいろいろとあった。
私が所属していた時に比べて組織は大きくなっているようだが、どうやら本質は変わっていないようである。


さて、彼(A君)の仕事ぶりを聞いて、少し『仕事をするということ』について考えてみた。

■仕事
(1)するべきこと。しなければならないこと。
「台所の―」「―が片付く」「―に取りかかる」
(2)生計を立てるために従事する勤め。職業。
「お―は何ですか」「―を探している」
(3)〔物〕 物体が力の作用のもとに移動するとき、移動方向の力の成分と移動距離の積で表される量。物体が仕事をされると、それだけ運動エネルギーが増加する。
(4)裁縫。針仕事。
「お隅が一人奥で―をしてゐる/真景累ヶ淵(円朝)」
(5)しわざ。所業。
「あの連中の―だといふのだがね/義血侠血(鏡花)」
(「大辞林 第二版」より)


仕事とは、上記のように、『なすべきこと・しなければならないことをする』ということである。

生活の為・社会的地位を確立する為・自身の好きなことをする為・・・等、『仕事をするということ』に対する答は色々とあるが、これは『仕事をするということ』によって達成される目的であって、『仕事をするということ』(手段)そのものではない。
だが、往々にして、本来手段であるべき『仕事をするということ』が『仕事をするということ』によって達成される目的と入れ替わってしまっているように思う。

だから、冒頭書いたA君のような状況が起こり得るのであろう。

おそらくA君は全く意識していないだろうが、『仕事をするということ』(手段)が、A君にとっては、生活の為等の目的として摩り替わってしまっており、本来、目的はどうあれ『なすべきこと・しなければならないこと』でなければならない仕事本来の姿が、ただの『こなすべきこと』へと成り下がってしまっている。


これは、一概にA君の責任とは言えないが、彼自身の気づきが無ければ本質的により良い方向へと変えることはできないから、彼自身が自ら変われる時が来ればと思う。
このままであれば、そう遠くない将来、彼自身にとってよくない結果に終わりかねないので。

まったくのヒトゴトではあるが・・・。


『仕事をするということ』について私の独断で定義できたので(笑)、次に『仕事をする能力』について考えてみたい。

『仕事をする能力』とは何であろう。

ここで陥りがちなのが、かつて私もそう思っていたのだが、専門的スキル・専門的知識を磨くことが仕事をするのに必要な能力という間違った考えである。
現状の私の上長もそのような考えを持っているようだが。(笑)

確かに仕事をしていく上での能力としては、専門的スキル・専門的知識を持っていなければ話にならない。
しかし、それのみに特化したからといって、『仕事をする能力』が高いということにはならない。

なぜなら、前段で定義した『仕事をするということ』は『なすべきこと・しなければならないこと』であるのなら、仕事をするのに求められる能力というのは、自ずと『なすべきこと・しなければならないこと』を実行するための能力と言う事ができる。

すなわち、自身が所属している組織のヴィジョンをいかに実行していくかの能力が『仕事をする能力』であり、専門的スキル・専門的知識などの局地的な視野に立った能力ではない。
『仕事をする能力』の中では、専門的スキルもまた一部のリソースであり、それ以上に様々なリソース(自身だけでなく)を駆使してヴィジョンを実行するための包括的な能力を高めるということが『仕事をする能力』を高めるということのように思う。

つまり『仕事をする能力』とは、『実行する能力』と定義できると私は考える。



偉そうなことを書いたが、「おまえはどうよ?」と言われれば返す言葉も無いが、常に心がけを忘れないようにしたいと思う。

何しろ、ちょっと油断するとすぐに楽な方へ行こうとしてしまうので・・・。(苦笑)