仲介業者の仕事。
以前のエントリーで書いた用途変更のできない物件であるが、今日、その仲介業者と打ち合わせを行った。
来てもらった意味は無かったが・・・。
と言うのは、来て打ち合わせをするのなら、それなりの材料を持って来てもらわなければ打ち合わせのやりようが無いからである。
物件の媒介等による報酬は宅建業法によって規定されている。
取引(売買・交換・賃貸)の種類と態様(媒介・代理)によって報酬限度額の計算方法は違ってくるが、私が扱っているのは賃貸借案件になるので、取引の態様は賃貸借物件の媒介となり、宅建業者が受け取ることが出来る報酬の限度額は、媒介の依頼者双方(物件の所有者と当社)合計して借賃の一か月分となっている。
商業物件の媒介取引に関して言えば、ほとんどが、テナントとして入る側(借りる側)が借賃の一か月分全額を仲介手数料として支払い、物件の所有者(貸す側)が支払うことは無い。
何を言いたいのかというと、「仲介手数料を取るのならきちんとその報酬内の仕事はするべきと」いうことである。
仲介手数料は、物件が制約しなければ宅建業者の手元に入ってこないものなのだから、物件を制約するための努力をきちんとするべきで、ただ、情報を流して入居するかしないかを問うのでは良い取引先とは言えない。
今回の案件は、用途変更ができないという特殊な案件であるが、こちらの方としては、リスクを取ってテナントとして入居するべきなのか、それとも否なのかを決める必要があり、それには、客観的事実の洗い出しのみが必要なのである。
『以前入居していた物販店も試みたが用途変更出来なかったので、今回もおそらくできないだろう。』『用途変更は無理とオーナーも言っている。』などと、そんなウラの取れない不確実な情報など必要ない。
そうではなく、『法的にこういう根拠でこの物件は用途変更ができない。』『用途変更せずに物販店として入居した場合、こういうリスクが考えられる。』『そのリスクを回避するためにはこういう方法が考えられる。』などと、客観的事実に基づく前向きな方法論を展開してもらいたいものである。
そういうところが良い仲介業者だと思うのだが。
同じような説明をしたが、今日来た取引先は今ひとつピンと来ていなかったようであるが・・・。
■宅建業の取引の種類
- 「自ら」当事者として、宅地・建物を『売買』・『交換』する。
ある人が自ら宅地や建物を購入したり、自己の所有している宅地や建物を販売したり、交換(お互いが所有している土地や建物を取り替えること)したりすることである。
自ら当事者として宅地や建物を貸したり借りたりする場合は取引にあたらない(自社ビルの賃借は取引でない)。- 宅地・建物の『売買』・『交換』・『賃借』の『代理』をする。
宅地や建物を買いたい人、売りたい人、とりかえたい人、借りたい人、貸したい人から依頼を受けて、これらの人に代わって(代理)契約をすることである。
- 宅地・建物の『売買』・『交換』・『賃借』の『媒介』をする。
媒介とは、他人の間の契約の成立に尽力することである。
代理の場合は、代理人は依頼してきた人の変わりに契約成立のための意思表示を行う。
これに対し、媒介の場合は、売りたい人と、買いたい人、取り替えたい人同士、貸したい人と借りたい人とを結びつけるだけで、それらの人に代わって契約を締結することはできない。(宅建とらの巻 東京リーガルマインド)
■賃借の媒介・代理の報酬
宅建業者が「宅地・建物の賃借」の媒介の依頼者双方から受領できる報酬額限度は、原則として合計して借賃の一か月分を限度とする。注意すべきは、当事者双方から受け取る報酬が合計して借賃の一か月分であり、一方から一か月分ずつ、双方合わせて2か月分受領できるわけではないことである。
双方から、合計が借賃の一か月分を超えない限り、どのような割合で受領してもよい。
居住用建物の場合は、依頼者の一方から受領できる報酬の額は、媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一か月分の2分の1に相当する金額以内とする旨の制限がある。また、依頼者の一方からのみ報酬を受領する場合は、合計でも2分の1か月分以内しか受領できない。
(宅建とらの巻 東京リーガルマインド)
※某賃貸チェーン店の「仲介手数料は2分の1しかいただきません。」という、さも当社はサービスしているような広告は、実はあたりまえな話なのである。
【参考書籍】
だれも知らない家賃値下げ成功法 佐藤 幸平 |