この世界には自分だけしかいないという、言いようのない一瞬を夜に感じる。
世間と隔絶された孤独感。どこまでも落ちていく暗闇の恐怖の中、どこかでそれを求めている自分の心がある。
テレビやラジオから聞こえてくる声は、どこか隔絶された遠くの世界の音。
言い知れぬ違和感を感じ、己の世界との、断絶された狭間を見出す。

魂の孤独。

人生で一番多感な頃から、夜の静けさが好きであった。
起きているのは自分しかいなく、言い知れぬ孤独感の中で、確かに自分は自由であると感じた一瞬。
何をするにしても己だけの世界の中で、自分と世界は混ざり合い同化していた。
その静けさもやがて終わり、世界が自分の中へと戻ってくる恐怖感。
このまま、いつまでも朝が来ないことを切に願っていた自分がいた。
必ず朝はやって来て、世界と関わっていかなければならないということがわかっていても。

今も変わらず孤独を求める心が自分の中に、確かにある。
それは、心の中で堆積し沈んだ澱のようなもの。
そしてそれはこの先も溶けることなく淀みつづけ、積み重なった日常の中で、己の魂と共に生きつづけて行くのであろう。