先日、ほぼフリー気味で同じ店舗開発職についている方とお話する機会があってクリアになったことが・・・。


新しい店舗業態は、登場時にはユーザーの支持を受け拡大基調に乗れるのだが、ある程度認知されてしまうと(競合の乱立も含め)今度は飽きられるという現象が生じる。そして、さらなる拡大を目指して新業態の模索を始めるが、その多くが既存の業態の焼き直しであったり、既存の店舗のイメージがあまりにも大きかったりで、そのイメージを払拭しきれないまま失速して行ってしまう事が往々にある。なので、既存業態であっても、どこがやっているのか全くわからないようにした形で業態の開発を行っていかないとチェーンは成り立たなくなっているのではないかと私は日頃つらつらと考えていました。


で、そこから一歩先へ話を進めて、その方は、最初から1企業数十店舗程度の業態開発で事業を行い、同じような事業会社を何個も作っていくホールディングカンパニー方式での事業構築が今後はチェーン業態には必要でないだろうかと言ってました。(もうやってるところもあるかな。)


漠然とは思っていたことなんですが、靄がはれた感じです。(苦笑)


 
店舗業態におけるチェーンオペレーションのメリットは、オペレーションの標準化による効率化という一点ですが、これは、規模の拡大を前提に成り立っているものです。店舗数が増えれば、それだけスケールメリットが出てくるので仕入等のコストが落とせるという前提での事業構造。確かに損益部分で見れば、これは非常に正しいことなのですが、バランスシートで見た場合に大きな問題点があります。
店舗が増えると言う事は、敷金なり保証金なり、また、店舗を取得するなり、というように投資コストが出店の数だけ増えていきます。そして、それがバランスシート上どこに計上されるかというと資産の部に計上されます。資産が大きくなるということは、それに対応した負債の部も大きくなるということであり(資本の部が変わらないという前提で)、その結果、自己資本比率が低下し企業としての安全性が低くなります。(ダイエーなんかがそう。)

仮に一店舗あたりの敷金・保証金が2,000万円として、600店舗展開したとすると、120億・・・。ばかにできない金額になりますなー。

これを解消する(資産を減らす)方法論として、敷金・保証金の部分をまるまる証券化してしまうという手段もありますが、私が現在扱っているような150坪程度の店舗では1店舗あたりの金額はたかが知れています。ましてや、15年から20年程度の事業用定借などの長期契約であれば、利回りも期待できるが、3年程度の短期賃貸借契約では、リスクのみ大きくリターンを期待できないという、証券化すること自体がナンセンスな事となってしまっているのでしょうね。よって、チェーン展開の行き着く先は、ある程度、店舗数が増えてしまった段階で出店は頭打ちで、後はスクラップ・アンド・ビルド(現状維持)のみという・・・。


いや、待てよ。短期賃貸借における敷金・保証金を企業単位を超えたグロスで証券化することができれば、まだまだいけるってことかー。何とかなりそうな気もするけど、どうなんでしょうねぇ。もうやってるかな?相手が個人ビルオーナーじゃ無理かぁ・・・。


あっ、上記のような話は、あくまで直営でチェーン展開している企業の話であって、他人のリソースを使ってのチェーン展開であるフランチャイズ・チェーン方式であればまた別なんですがね。
FCの場合、店舗取得費(敷金等の)なんかの投資はその事業の当事者が行うので、チェーン元である企業のバランスシートは重くなりません。その変わり、直営でチェーン展開するほどの収益は見込めないんですけどね。


もうちょっとチェーンのあり方を真剣に考えてみれば、面白いかもしれないですなー。
まぁ、ビジネスプランがあっての話なんですけどね。(笑)