3月24日に公正取引委員会が着うたをめぐって大手レコード会社を相手に排除勧告を行っていたのは知っていたのですが、まあ、囲い込みによる新規参入妨害だろうと単純に思っていたわけです。そうしたら、一昨日だったか、ラジオで排除勧告を拒否したっていうことを聴いたので、あれれ?どうなってるんだろうと思ってちょっと調べてみました。

着うたで排除勧告、5社中4社が受け入れを拒否 : ITmedia mobile
公取委が着うたをめぐり大手レコード会社に排除勧告を行った問題で、東芝EMIをのぞく4社が勧告受け入れを拒否した。


上記記事によると、拒否したのはソニー・ミュージックエンタテインメント、エイベックスネットワーク、ユニバーサルミュージック、ビクターエンタテインメントの4社で残りの1社が東芝EMI 。東芝EMI は回答期限の延長を申し入れているとのこと。

そもそもの排除勧告の内容は、上記5社がレーベルモバイル以外に着うたを提供する事業者に、正当な理由なく原盤権の利用許諾を行わなかったということが問題視されているんですね。

はて?原盤権ってなんぞや。

ということでちっと調べてみました。


一般的に著作権と言われているものの中には、CD を例にあげると、その楽曲に対する作詞者・作曲者・音楽出版社の権利が含まれています。つまり、その CD に収められている楽曲を歌ったりするアーティストの権利だけでなく、レコードを製作した人の権利も、著作権に隣接する著作隣接権として認められています。その著作隣接権の中に原盤権があると。

そして、原盤権というのは、原盤が CD のようなメディアとして製品化され販売・レンタルされたり、またその他の手段(ここでは着うたの配信)で二次利用されると、原盤の権利所有者は使用料を請求できるわけです。この二次利用に関して各社はレーベルモバイルという会社を作って着うた配信を行っているわけですが、着うた配信を独占し新規参入を阻害していると公取に判断されたんですねぇ。ということは、東芝 EMI は確か原盤は作っていなかったので回答期限の延長をしたんでしょうかねぇ。

原盤権とは何か? : 財団法人ヤマハ音楽振興会

うーむ、どうだろう。至極まっとうな勧告のように思うのですが・・・。CD 売上不振による、CD に変わるメディアという感覚で各社さんは囲い込みによる収益確保に走っているんでしょうけど、利用する側から言えばなんだかねぇって感じですが・・・。参入が多くなれば価格は必ず下がりますからね。私自身は着うたには興味ないのですが、iTunes ミュージックストアが早く日本でサービスインされないかなぁと思っている iPod ユーザーなので、この審議の行方がちょいと気になります。おそらく、既存の日本のレコード会社が今回勧告を拒否したのは、この iTunes ミュージックストアが視野に入っている部分もあるからなのでしょうね。

まぁ、iTunes ミュージックストアが日本でなかなかサービスインできない理由は、小額決済に伴う手数料やら、超えなければいけない権利関係のコスト問題でアメリカのように一曲単価が安くできないということもあるんでしょうけど・・・。

「着うたR」に関する公正取引委員会の排除勧告に対する対応について : ソニーミュージックエンターテインメント
公正取引委員会勧告の不応諾についてのお知らせ : エイベックスネットワーク
ユニバーサルミュージック HP
ビクターエンタテインメント HP
東芝EMI HP
レーベルモバイル HP