マラケシュ心中 / 中山 可穂
…まいった。
プロローグでいきなりガツンとやられ、終盤でまたガツンとやられ…。固定観念は持ってないつもりだったけれども、タイトルから無意識的にこうであろうという解を導き出していた自分をことごとく裏切ってくれた。男であること女であること。それは本質ではなく、現象を現しているに過ぎず、愛の前にはお互いの魂がただあるのみということか。
本屋で平積みされてる時から手には取っていたが、ただの純愛小説かと思ってた自分の予定調和さ加減にちと反省。
“恋がいつか終わるものなら、わたしたちは恋人同士になるのはやめましょう。何も契らず、何も約束せず、からだに触れ合わず、それゆえに嫉妬もない、いかなるときも自由で、平明で、対等な関係のまま、いつまでも離れずに、この世で最も美しい友になりましょう。”
泣きたくなった…