ARAKURE あらくれ (ハヤカワ・ミステリワールド)

中学?高校時代、矢作俊彦&司城志朗と言えば、一連の三作品、インドネシアで捕まって監禁された男の脱出・復讐劇を書いた「暗闇にノーサイド」、その時に雇われた傭兵ジョウを今度は物語の中心に据えた「ブロードウェイの戦車」、明治初期のハワイの行方をベースにした、ガンマンVS侍+ロマンス的な「海から来たサムライ」に胸を熱くしてたっけ。

上質のエンターテインメント冒険活劇映画そのままの一連の作品…未だにそれとなく頭に入ってるので、これまで読んできた物語の中で彼らコンビの書いた一連の作品は、間違いなく自分の中で生涯上位の方に来る。

…そういう期待値があった上での30年ぶりに読むの矢作俊彦&司城志朗コンビ新作。(これの前にも出してるみたいだけど、それは読んでないのでわからんw)

佳作…(笑)

ま、言ってしまえば、ボニー&クライド、あるいはブッチ&サンダンス、もしくはそれらの混ぜ合わせっていうところ。概要読んだ時点で結末までわかってしまうのも何だかなぁ。土方歳三や坂本竜馬なんかをキャラで出してくるのであれば、もうちっと深い絡みをさせても良いんでね?っていう感じ。

主人公の印象が薄い=キャラ立ちがもうひとつというところがあって、脇が結構魅力的な設定にも関わらず、生きてこないから全体的に抑揚の無い印象になってしまってる。かと言って、流石のコンビなんで、プロットの破綻とかも無く、物語そのものは完成された様式美があったのはまぁ良かったかな。このまま映画化しちゃえば面白いかも…

そういう意味での佳作なので、決して悪い本では無いということで(笑)

それにしても最初にこのコンビの作品を読んで30年…か。歳、とったな。