デヴィッド・リンチ展、行って来た。
– 結局のところ、核になってる感覚は闇と混乱のうちにある人生。- David Lynch
渋谷ヒカリエの 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery にて、デヴィット・リンチ展が開催されていたので、渋谷に出るついでに見て来た。展示されいてるのは水彩、ドローイング、リトグラフを中心とした最近の作品ではあるが、リンチそのものの純粋核が表出されていてとても堪能した。
一連の作品群は、最近のフィルム作品よりは、初期のイレイザー・ヘッドやブルー・ベルベッド、ワイルド・アット・ハート、そしてもちろんツイン・ピークス等にダイレクトにつながるチャネルであった。
イレイザー・ヘッドのラジオの中から現れる少女の幻影。
ブルー・ベルベッドのアメリカ的象徴としての美しい芝生とその下で蠢く昆虫の対比。
ワイルド・アット・ハートのローラ・ダーンに絡むウィレム・デフォーの狂気。
そして、ツイン・ピークスであれば、映画版「ローラ・パーマー最期の7日間」における、デビット・ボウイの狂気に伴われた登場と、テレビ版であれば、小人のいるレッド・ルーム…的な。
絵のこととなると、私が本当に美しいと思うのは暗いものの方だ。人生の明るい面を自分にとって心地よい様に描くことは学ばなかったのだろう。そうすることもできるとは思うけれどーーールソーはそうだし、ある意味でリチャード・ディーベンコーンもそうだ。しかし私の絵はすべて有機的で暴力に満ちたコメディだ。暴力的に制作され、プリミティブで剥き出しなものでなければならない。そしてそれを実現するために、私は私が描くよりも衝動が描くにまかせ、自分はなるべくその邪魔をしないように努める。実際、ブラシで描くことは少なくなっ たーー指を使う方が好きだ。できることなら絵に噛み付きたい。
−デヴィッド・リンチ (東高現代美術館編集「デヴィッド・リンチ PAINTINGS DRAWINGS」1991年より抜粋)
冒頭の言葉どおり、結局のところ、強烈なクリエイティビティは、自己の中に埋没している闇と混沌、そして狂気の深さによるところが大きく、また、それをどう表現する事ができるかによるもの…と、自身、クリエイターと言うわけでもないが、改めて感じた次第で。
無料だし、また行って来ようっと。
デヴィット・リンチ展
会期 : 2012年6月27日(水)〜7月23日(月)
場所 : 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 8階 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
時間 : 11:00〜20:00
料金 : 無料
※会期中無休