京極夏彦の百器徒然袋-風の扉絵、五徳猫が妙に可愛くてそそられる(笑)

五徳猫というのは、鳥山石燕によって創作された日本の妖怪で『百器徒然袋』の中に描かれているが、画図百鬼夜行のキャプションに「七とくの舞をふたつわすれて、五徳の官者と言ひしためしもあれば、この猫もいかなることをか忘れけんと、夢の中におもひぬ。」という文言が付けられている。つまり、小説内でも書かれている、囲炉裏の火を起こしてる猫が何か大事なものを忘れている…的なモチーフがこの扉絵の造形に使われている感じかなぁ。ちょっとユーモラスを感じさせる。

この造形を作成したのは、荒井良という造形作家で wiki によると張り子人形作家で大の水木しげるファン。京極夏彦の装丁の大部分を手がけてる…とちょっと横道にそれちゃったけど、京極夏彦はやっぱり長編が良いかな。

この百器徒然袋は、百鬼夜行シリーズに出てくる脇役の探偵、榎木津礼二郎を中心に据えた中編集となっていて、ご他聞に漏れず、読み応えのある(中編一編で300ページ超)作品となっていて面白いんだけれども、ちょっとクドい感じがするねー。おそらく、どの物語も、膨らませれば1000ページ超の長編でいける素材となっているのを、300ページぐらいの中編にまとめてる感じがするので、全体のバランス的にもう一つという感じ。

この人の場合、1000ページ超で一つの物語の方がバランスが良いんだろうな…と思った次第で。や、決して面白くないわけでは無いんだけどねー。という訳で佳作…かな(笑)