価格は大きな要素ではあるが…
9月6日kitson参戦 @ 原宿
“それが全てでは無い。揺り戻しもあるだろうし、逆張りのチャンスでもある。品質、クオリティ、トータルにアプローチして行く。” by point 石井社長
今日は例によって、原宿東郷神社方面でセミナーがあったので参加。年間に高いお金払ってるしw、ユナイテッドアローズの重松社長とポイントの石井社長の対談ともあれば、聞かなきゃ損ということで。
んが、結論から言うと、消化不良だった(笑)。時間が短かったのもあるし、やはり、これだけのポジショニングの人達だと、含蓄のある言葉は聞けても、そつのない回答になるのは致し方無しか。ただし、両者ともに強固な信念を何の衒いも無くきちんと持たれていらっしゃる姿は、やはりモノが違うと言うのが率直な感想。
心無しか、主催した、某センセの突っ込みが、前回の YEVS さんと AZUL by moussy さんの本部長クラスの方々の時よりも鋭さが無かったのは気のせい?(笑)
以下、某センセのお話の中でちょっと思った事をつらつらと。
某センセは、「37歳以下の世代は CD やネット経由の圧縮されたデジタル音楽やデジタル映像しか知らず、感性までデジタルに圧縮されているから、デジタルに圧縮されたファストファッションで満足してしまう」と言う事を言っていたが、状況はそんな単純な話では無いんじゃないかなぁと。まぁ確かにマスで括った場合、ステレオタイプ的に上記の様にとらえる事もできるし、見ようによっては、あながち間違っていないとも思うが…。
ネットの革新により、確かに世界はデジタル化へ急速に進化し、デジタルが普通である世代がマーケットのボリュームとして台頭して来ているが、だからといって感性までデジタル的に圧縮された人が多くなったかというとそんな事は全く無い。
ネットというヴァーチャルな世界で私なんかが参考にしたり、やり取りさせていただいている方々は、当然デジタル人間(笑)と括る事ができるが、世代を問わず、物事を捉える力や、スキル、拘り…諸々、感性豊かな方ばかりである。
なぜそうなのか?
それは、デジタルは圧縮されているので劣化しているというのは確かにあるんだろうが、圧縮されることによってより早く、より多くのデータ(情報)を手に入れられる恩恵が大きいし、劣化した部分はいくらでも補正が効くということ。
それよりも、圧縮されることにより、手に入れるスピード、情報量が飛躍的に延びるため、より豊かな感性を培う事ができていると言う事の方が大きい気がする。
それに、ネットで活動を行うということ自体は、それなりのスキルが伴う事でもあるので、当然、努力精進を行っているということも関係しているのかもしれない。だから、デジタル=圧縮=感性の劣化という構図は一概には成り立たない。
それよりも、問題は、処理すべきデータが飛躍的に拡大した関係で、処理するスピード・能力もまた飛躍的にオオキク求められてしまうという点にある。ここにいわゆるデジタルデバイドが存在する。そして、その格差を埋める形での携帯電話の台頭という側面があるのかもしれないw。
これは、決して、携帯電話でネットに参加している方が能力が劣るとかそう言う事では無い。逆に、飛躍的に拡大した情報世界を、より簡単に、より便利に利用出来るようになったと言う事が大きい。その世代がデジタル世代の中のそのまたボリュームとして台頭して来た事が、昨今のファストファッションブームに繋がるのでは無いんじゃないかなと思ってみたりw。
昔は何かの情報を手に入れる為にはそれなりのコストを払ったけれども、今は低コストで色んな情報がそれこそ玉石混淆溢れんばかりに手に入れられる。
生まれた時からそういう状況に慣れ親しんでしまえば、自ずと価値観自体もパラダイムシフトを起こすのは当然の帰結であり、センセの言う通り「品質や完成度には感心が低く、‘安い速い可愛い’が至上の要求」になるこの流れは止まらないしむしろ加速度的に拡大して行き、我々なんかのオールドタイプはその波に飲み込まれ泡と消えてしまうのは自然の摂理と言う事ですw
要は、これまでと同じ概念でアパレルビジネスを進めて行くのであれば、売上は延びないむしろ落ちる、と言う事を前提に在庫を減らし、回転を早め、販管費を圧縮し、利益を出して行くしか今の所生き残る道は無い。そしてそれらを一つの単位として、どれだけ複数整えることが出来るかが企業として拡大して行く鍵となる。ファストを追求しないのであればだが…。
ポイントさんの 1ブランド・100店舗・100億戦略しかり、UA さんのポートフォリオに則った戦略しかり。
以下、対談での内容の箇条書き。
- FOREVER21、原宿1店舗(1750m2)予測年商230億
- H&M、銀座・原宿2店舗で年商120億。
- ZARA、日本上陸11年で40店舗250億しか売れてない。
FOREVER21 の年商がそこまで行くのかという気がしないでも無いがw、マルキューが昨対90%、マウジーさん、セシルさん昨対二桁減の原因はここに負う所が大きいんだろうなぁ。コアな顧客自体はそう減ってないんだろうけど、フリ客は相当流れてるんじゃない?
- マーケット自体がボリュームゾーン化している。高付加価値・高機能から低価格化・機能限定・分かりやすいへ。消費の退化減少が起きている。
- 価格の常識が一回り落ちている。
- GAP、直近、世界一から二位へ転落。インディテックスにその座を奪われる。
- アメリカでは SPA よりセレクトが堅調。
[point]
- マルチなジャンルで新ブランドを投入。
- 複合化。
- FOREVER21 にはなりたく無い。
- 基本的に拘りは持っている。ファストでは無い。
- スタッフへの権限委譲を行っているので、それぞれ当事者意識は高い。
- 2−3年のレンジでは、ファストは追っかけざるを得ない。ただしベースを変えるつもりは全く無い。
- 980円以下にしないと価値は伝わらないのか?あえて取り組み必要は無い。そこに我々の存在意義がある。
[UA]
- リーマンショック時、百貨店より割れは少なかった。今年に入ってから厳しい。
- 価格政策は変更しない。ただ、ファストファッションがここまで浸透しているので、入店しやすい価格帯を秋から投入して行く予定。
- コーエン、ファストファッションという意識は無い。
- 10年前から H&M や FOREVER21 はベンチマークして来たが、それはあくまでも UA とは別として意識していた。それが現状ではお客様が買い回っている状況。
- 反物が入る所から社員教育を行いたい。できれば小さな工場を持ちたい。
- トレンドマーケットでしか勝負しない。そこは変えない。
- 高感度アパレルの継続は難しい…がそこを追求する。
たけしが言ってたけど、理系の頭脳で、文系の表現が
出来る奴が賢いって。
頭が良くても、みんなに伝えられなければダメだし、
表現がうまくても、理論がなければ中身がないし。
ぼくが思うに、デジタルとアナログを分けて考えることはナンセンスで
いかに融合して、絵的アナログを醸し出すかだと思います。
完全デジタルでいけるのは、日本ではいまのところユニクロさんだけでしょ。
僕的には、昨日の話、なかなか面白かったですよ。
ただ重松さんは1対1じゃないと、引き出せないかもしれませんが。
# HIK さん
こんにちは。
なるほど、おっしゃるとおりですね。理系の頭脳で文系の表現…。
# ぼくが思うに、デジタルとアナログを分けて考えることはナンセンスで
そうそう。そうですね。
デジタルとアナログなんて考えてる時点で、時代から取り残されつつあることを表明しているようなものですね。当然、私も含めての話ですが(^_^;)
# ただ重松さんは1対1じゃないと、引き出せないかもしれませんが。
あー、なるほど。言葉の端々を聞いてると、もっと掘り下げて聞いたら面白いお話が聞けそうな感じでしたね。空気を読まずに言えば、そこを小島さんにはもっと突っ込んでもらいたかったと思います(笑)。
原宿東郷神社方面でセミナーに参加されているのですね。小○さんの良くも悪くも、自分の意見というか、世界をお持ちで、何かとおもしろいのでブログなど見ていました。よく”開業予定SC徹底分析!”なんてテーマでセミナーやっていますよね。新船橋イオンもそれこそ、1年前ぐらいに土俵に上がっていたのではないでしょうか。”メンバーが出店を控えるべきSC!”に入っていたとか、入っていなかったとか・・・。今では、延び延びですね。
# まーくん
こんばんは。
そうですねぇ、センセ、私は生理的に駄目なタイプなんですよw 話してるそばから、脊髄反射でかぶせたくなるタイプと言うかw
まあ、それはそれとして、科学的なロジックの組み立てによってアンチテーゼを追求し今の地位を築いていらっしゃる事は尊敬に値しますし、とうてい私なんか足下にも及びません。
また、この手のご商売をされている方って、全方位的に当たり障りの無い人が多かったりもします。それだと正直つまらない。その点では歯に衣着せずに貶す有様は、聞いてて中々楽しい。
しかも、自分がお金を貰っている顧客に対してはあまり貶さないと言う商売人感覚もきちっとお持ちですしね。イオンモールさんに対してあまり悪口を言わない事からも伺い知れます(笑)
そういったバイアスがかかっていることを差し引いて聞くと、色々と参考になる事が多いので、出店に関するテーマの時はなるたけ参加するようにしてます。
新船橋…延びてますね。
ただ、やることは確実な様なので、もうしばしお待ちの程を(^ω^)
我楽さんを含め書き込みをされていらっしゃる方々皆さんファッションビジネスに携わっていらっしゃる方々とお見受けします。(お久しぶりです我楽さん)
あいにく私はファッションビジネスのプロではないので門外漢ですが、我楽さんの日記を拝見し一言だけ素人考えを書き込みさせて頂きます。
ファストファッションとはファッション業界の価格破壊である。という事で良いのではないでしようか?
では何故、価格破壊が起きたか?
それは消費者がプロのデザイナーが創る商品に飽きたからです。
飽きた原因はネットやモバイルが原因なのではなく、新しいデザインを産出せるデザイナーがいないからではないしょうか?
どれほど新しいデザインを創ってもコピーされファストとして安価で大量販売されては元も子もない。
とは、つまりコピーされるようなデザイン(商品)でしかないからです。
セレクトショップが好調なのは創るデザイナーより、選ぶMDの方が消費者をよく知っているからで、商品に訴求力が無い時は販売が頑張るしかありません。
だから、
セレクトショップは売り手市場です。
ファストフブランドは買い手市場です。
そして、創り手市場が今、無くなろうとしています。
現代のココシャネルは今何処?!
と、素人ながらに思うのですが・・・・
# 雪舟さん
こんにちは。お久しぶりです^^
いやぁ、その通りです(笑)
みなさん、そう認識してるんですけど、中にいると単純に割り切る事ができない。感性とかクオリティとか色んな理由をつけてロジックを展開したくなるのが世の常かな…と(笑)
単純に消費者に支持されなくなって来ただけなんですよね。
で…これは恐らく、ファッションだけの話じゃなくて、どんな産業においても今起きているトレンドなんだろうなと思う次第です。
ビジネスと言う物は、拡大し走り続けて行かなければいずれ衰退していくものだと思います。最適利潤の追求なんていう話もありますが、私がこれまで経験して来た中では、そんなことを追求している企業は皆無でした。
しかし、インフラがこれだけ整い、どこにでもモノが溢れて誰にでも手に入れることのできる時代だからこそ、マーケットはこれ以上拡大しない、もしくは縮小していくことを前提に、ニッチなカテゴリーで、最適利潤を追求して行く良い機会なのかもしれませんね。
変わらない事による強さというものもあると思いますから。
現代のココシャネルですか!?(笑)
私自身はそれは今は無理なんじゃないかなと思います。
音楽の世界なんか見ても典型だと思いますが、プレスリーから始まった流れの中で、現在の音楽は全て焼き直しに過ぎなくなっています。
それはコード進行含め、様々な事をやり尽くされてしまったから来ることで、現在のアーティスト達に才能が無いということでは無いのですが。
ファッションも同じで、やり尽くされてしまったんじゃないかなぁ…と。
この流れを変えるには劇的な変化が必要だと思います。世界の概念が変わるぐらいの強烈なインパクトが。
私が生きている間にそれが起こるのは難しいんじゃないかなと個人的には思ってます。決して投げやりになっている訳では無いのですが(苦笑